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「花粉症シーズンと薬剤師の仕事」

春になると、毎年のように花粉症の患者さんが薬局にやってくる。今年も例外ではなく、連日、内服薬、点鼻薬、点眼薬を求める人が多い。薬を渡すだけなら簡単だが、それ以上に「どうしたら症状を軽くできるか」「この薬の使い方は合っているのか」といった相談を受けることも多く、薬剤師としての役割を改めて感じる時期でもある。
特に多い質問のひとつが「薬を飲み忘れたらどうすればいいですか?」というもの。患者さんの中には、飲み忘れに気づいて焦ってしまう人もいるし、自己判断で2回分まとめて飲もうとする人もいる。そんなとき私はまず「そこまで心配しなくて大丈夫ですよ」と伝えるようにしている。花粉症の薬は多少飲み忘れてもすぐに深刻な影響が出るわけではない。とはいえ、症状を安定させるためには毎日しっかり飲むことが大切なので「気づいたらすぐに飲んでくださいね。でも、次の時間が近かったら無理に飲まなくても大丈夫ですよ」と付け加える。
また、患者さんが不安そうにしているときは、まず話をしっかり聞くことを意識している。「実は毎年この時期になると夜も眠れなくて…」とか、「目がかゆすぎて仕事に集中できないんです」といった悩みを聞いていると単に薬を渡すだけではなく、生活の中でどう対策すればいいかを一緒に考えることも重要だと感じる。例えば、「帰宅したら玄関で上着を払うと、室内に持ち込む花粉の量が減りますよ」とか、「寝る前にシャワーを浴びると翌朝の鼻詰まりが軽くなることがありますよ」といったアドバイスをすると、「そんな簡単なことで変わるんですね!」と驚かれることもある。
それに、点鼻薬や点眼薬の使い方も意外と知られていない。「点鼻薬は顎を少し引いてからスプレーするとのどに流れにくくなりますよ」とか、「点眼薬は一度に何滴も入れるより、一滴ずつこまめに使う方が効果的です」と伝えると、「今まで適当に使ってました…」という反応が返ってくることも少なくない。こうした小さな工夫が症状を和らげるのに役立つことを知ってもらえるのは、薬剤師としてのやりがいのひとつだと思う。
私自身は花粉症ではないけれど、それでもできる限り患者さんが納得できる説明を心がけている。もちろん自分が経験していればもっと説得力があるのかもしれないが、知識として正しい情報を伝えることで少しでも患者さんの不安を取り除けたらいいなと思う。
花粉症のシーズンが終われば、今度は夏の熱中症対策や胃腸薬の相談が増えてくる。その時々で求められる知識は変わるけれど、どんな季節でも「ここなら安心して相談できる」と思ってもらえるような薬剤師でありたい。春の花粉症の相談を受けながら、そんなことを考える今日この頃だ。